2021年、ホームページをオープンいたしました。

 

昨日は会社が休みだったのでスノーボードにでも行こうと思っていたら、大阪市内は生憎の雨。せっかくの有休だったので1日を読書に充てることにした。選んだ本は東野圭吾の『悪意』。東野圭吾といえば”ガリレオシリーズ”が有名であるが、この『悪意』をはじめとした”加賀恭一郎シリーズ”も傑作だ。実は今年の初めに2023年はなるべく本を読もうと思い、蔦屋書店で加賀恭一郎シリーズをまとめ買いしたのだ。まだ全作読んだわけではないが、記憶が鮮明なうちに、読書感想文がてらこの本の感想を記述しようと思う。

 

 

*この後はネタバレ含みます。

 

【あらすじ】

この物語には、数年前に学校の教師を辞め作家に転じた野々口修と、数々の文学賞の受賞経験がある日高邦彦が登場する。2人は、少年時代から同じ学校に通い、お気に入りの図書を推薦するなど、共に作家を目指した仲だ。物語は、間も無くバンクーバーに飛び立つ日高邦彦に、暫く会えなくなるからと野々口修が日高邦彦の自宅を訪れるところから始まる。野々口と日高が会話をしている途中、日高家に突然の来客。野々口は一度日高の家を出ることになるのだが、後に日高から相談したいことがあると電話があり、その日の夜に再び会う約束をした。しかし、野々口が日高の家を訪ねると、そこには日高の死体があったのだ。

 

こうして日高邦彦殺害事件の真相を究明していくというストーリーになる。事件を担当する刑事が、加賀恭一郎だ。加賀恭一郎は、凄まじいスピードで事件を解明していく。

 

 

この本は、3分の1ほど読み進めていくうちに犯人が分かる。逮捕されたのは第一発見者で親友の野々口修だ。
僕も「あれ?まだまだページが残っているのにもう事件解決してしまったのか。」と驚いたほどだ。

しかし、野々口修は日高邦彦を殺害した動機について一切話そうとしない。刑事としても容疑者の動機が確定しない限りは事件解決に至らないため、加賀恭一郎は、野々口修が何故日高邦彦を殺害したのかという「動機」を探すこととなる。

 

・・・

捜査が進むと、野々口修の部屋から大量の未発表原稿や被害者の前妻の写真が見つかり、野々口修の意外な動機が見つかる。
それは、野々口修が日高邦彦の前妻と不倫関係にあったことを理由に、日高邦彦からゴーストライターとして原稿を提供するよう強いられており、復讐に及んだというものであった。(他にも、物語には複雑な人間関係や仕組みが巧妙に描かれている。)

 

野々口修の動機が判明したことにより事件は解決に向かうのだが、加賀恭一郎だけは違和感を感じていた。
加賀恭一郎は改めて、野々口修と日高邦彦の幼少期から知る人物を当たり捜査を行うと、驚くべきことが判明する。

 

それは野々口修が話した動機は偽りの動機であり、真の動機は全く違うところにあったのだ・・・。

 

【感想】

この小説は、犯人の「動機」探しが肝となる作品である。
犯人が真の動機を隠すため、動機を捏造するというミステリーだ。通常のミステリーであれば、自分が犯人にならないように証拠を捏造したり動機を隠したりするものだが、この小説では野々口修自身が犯人になることを受け入れている。そうした設定は、東野圭吾ならではの面白さだと感じた。野々口修が何としてでも隠し通したかった真の動機=悪意を、加賀恭一郎が粛々と捜査を進め解明していくストーリーは、非常に臨場感があった。

 

また、作家としてはアマチュアな野々口修と、数々の賞を受賞している日高邦彦の人物像が対照的に描かれており、事件の概要を犯人の「手記」で表現している点も、作家という特性を上手く活かした描写であると感心した。物語の前半と後半で、日高邦彦の人物像が真逆であると判明するが、それは、野々口修が手記に「日高邦彦は近所の猫に毒ダンゴを食べさせ、殺した」というような表現をしたことで日高邦彦は残酷であるというイメージを植え付けさせたのだ。

 

その人物がどういう人間なのかを読者に伝えるということですが、それは説明文ではいけないそうですね。ちょっとしたしぐさや台詞などから、読者が自分でイメージを構築していけるように書くとういうのが「人間を描く」ということなんでしょう?

 

 

という加賀恭一郎の言葉が書かれているが、本当にその通りだと思った。

 

良い意味でも悪い意味でも、こういった些細な行動で人のイメージが決まってしまうが、実はそうでない可能性もあることは十分考慮すべきだと思った。

最新情報をチェックしよう!
>B'z好きサラリーマンの「ギターチャレンジ」

B'z好きサラリーマンの「ギターチャレンジ」

サラリーマンとして働く私が、あまり時間の無い中で、
趣味であるギターをただただ練習するだけのサイトです。

ギターをなかなか弾く時間のない方、ギターを弾いてみたいけどきっかけがなくはじめられていない方、一緒に上達しましょう。

CTR IMG